なぜ安全な場所にいても落ち着けないのか【神経が「危険」を予測してしまう仕組み】

目次

安全な場所にいても落ち着けない理由

安全な場所にいるはずなのに、なぜか落ち着けないことがあります。

多くの人はそれを、性格のせいだから、しょうがないと思って、あきらめているかもしれません。

しかし、これは性格の問題ではありません。

実は、体の中の“神経の働き”で説明できます。

神経が働きすぎているだけなので、異常ではありません。

ただ、この状態が続くと生活しづらくなってしまいます。

この記事では、なぜ安全な場所にいても落ち着けないことが起こるのか、解決の考え方から、具体的な方法まで

くわしく説明します。

神経はどのように働いているか(ここは飛ばしても大丈夫です)

※ここから少しだけ仕組みの話になります
「なんとなく原因が分かればいい」という方は、このまま読み飛ばしても大丈夫です

理解しておくと、かなり見え方が変わります。

人間には自律神経があります。

自律神経は、生活するうえで必要になる体の機能を、無意識のうちにコントロールしてくれています。

例えば、次のような働きです。

  • 血液やリンパ液の循環
  • 呼吸
  • 消化
  • 発汗・体温調節
  • ホルモンの分泌
  • 生殖機能
  • 代謝(食事からエネルギーを得て、細胞を作り替える)

これらは、呼吸以外、自分でコントロールできませんよね。

いつも自動的に、体の調子を整えてくれているから、健康でいられると思うと、ありがたく感じます。

そしてこれは、交感神経副交感神経の2つに分かれています。

交感神経は、活動しているとき、緊張しているとき、ストレスがあるときなどに働きます。

副交感神経は、休んでいるとき、眠っているとき、リラックスしているときなどに働きます。

この2つの神経は、どちらかが働くと、どちらかが弱まるように、日々の生活の中で、シーソーのように交互に働いています。

交感神経副交感神経
瞳孔が拡大瞳孔が縮小
ネバネバするサラサラする
心臓心拍数アップ心拍数ダウン
血圧上昇下降
血管収縮する拡張する
胃腸活動低下活動向上
膀胱拡大する縮小する
呼吸促進抑制

私たちは、神経が危険を感じると、交感神経が働きます。

どういうことかというと、例えば街を歩いていたら、トラが現れたとしましょう。

そうすると、怖いので血圧が上がり、呼吸が早くなり、筋肉も緊張します。

これはまさに、交感神経が働いている状態で、そのためすぐに逃げるか、戦うか、行動を取ることができるので

生き延びる確率が上がるんですね。

このように交感神経は、私たちを危険から守ってくれています。

では逆に、副交感神経が働くときは、どういった場合でしょうか?

例えば、夜眠りにつくとき、きれいで温かいベッドに入ったとしましょう。

そうすると、体は血圧を下げ、呼吸も減らし、胃腸の活動を活発にします。

そのため、リラックスできますし、食べたものを消化して、エネルギーに変えたり、体内の毒素を分解したりできます。

副交感神経が働いてくれるおかげで、体が休まり、次に活動するエネルギーが蓄えられるんですね。

しかし、どちらかが働きすぎる状態が続くと、体に極端な影響が出てきます。

神経が「危険」を予測してしまう仕組み

交感神経が働きすぎる状態が続くというのは、具体的にどんな状況でしょうか?

例えば

・家庭で親が子供をコントロールしようと、口うるさく小言を言ってきたり

・いじめられて学校に居場所がない子供を、学校に無理やり通わせようとしたり

・職場で怒鳴られたり、『お前はダメだ』と人格を否定されることが続いたり

交感神経がずっと働く状況は、そんなに珍しいわけじゃないんですね。

ここでは職場を例にして話を進めます。

職場で怒鳴られることが続くと、安全な職場に変えてたとしても、そこにいるだけで怖くなったりします。

これは神経が勝手に危険だと判断して、安全な職場なのに交感神経を働かせるからです。

神経は、何度も同じパターンが繰り返されると、学習するんですね。

・職場で怒鳴られる

・体が危険と判断する(交感神経ON)

・何度も起こる

危険が何度も繰り返されると

この状況=危険が起きる場所

というように学習されます。

そして神経は、実際に起こる前に、それが起きそうな状況になると、予測して反応するようになります。

なぜなら危険な状況になってからじゃ遅いので、それが起こる前に、神経が体に教えるからです。

これはシンプルに、生き延びるために、交感神経が私たちを守ってくれているからです。

神経は、場所ではなく、パターンを覚えます。

例えば

・人が近づく

・声が大きい

・上下関係がある

こういった似た要素で反応し、交感神経がONになります。

そのため、新しい職場でも、似たようなパターンを見つけると、怖くなってしまうんですね。

そして、交感神経が働き続けると、血管が縮んだ状態となります。

そうすると

  • 栄養が全身に行き渡らなくなるので、老化が進む
  • 酸素も全身に行き渡らないので、細胞がエネルギーを作れなくなる
  • 体温も下がる
  • 老廃物が滞ってしまうので、不調の原因となる
  • 疲労回復もしづらくなる
  • 不健康になることがストレスとなり、さらに交感神経が強く働く

という悪循環に陥ってしまいます。

ですから、悪循環と神経の予測モデルが同時に働くので、すごく抜け出しづらい状況です。

これを直すには、思い込みを変えるのではなく、神経に安全だと再学習させる必要があります。

無理に慣れさせると逆効果になる理由

解決の考え方は、徐々に神経を、安全だと慣れさせていくことになります。

危険なことが起こるかもしれないと、学習したパターンの状況になっても、危険なことは起こらなかったという安心できる体験を積み重ねていきます。

ここで重要なのは、ただ怖いことに、勇気を出して飛び込めばいいわけではありません。

怖いことに飛び込んでも、交感神経が優位に働くと、やっぱり危険だというように、神経が学習されてしまい逆効果です。

例えば、他人が怖い場合、無理してその場にいると

・心拍が強く上がる

・汗が出る

・頭が真っ白になる

という状態が続くと、神経はやっぱり危険だったと判断してしまいます。

ですので、いきなり大きく挑戦するのではなくて、小さく挑戦して、安全は範囲で慣れさせていくことになります。

大切なのは、「まだ大丈夫な状態で終わること」です。

神経に「安全だ」と再学習させる方法

呼吸は、自律神経をコントロールすることができる、数少ない入口となります。

息をできるだけ長く吐くと、副交感神経のスイッチが入るからです。

知っている人と少しだけ話してみましょう。

そのとき呼吸を、息を吸うのは自然に、吐く方はゆっくり長く吐きます。

そして安全な状態を体験して、危険だと感じる前に切り上げます。

そうすると安全だった記憶が残るので、だんだん神経が再学習されていきます。

これは性格ではなく、神経のパターンです

安全な場所にいても落ち着けないのは、生まれつきの問題でも、性格の問題でもありません。

ただ神経が、危険なことを予測して、それが起こる前に、私たちを守ろうとしてくれているだけです。

そして学習された神経のパターンは、再学習させることができます。

-翻訳体

※自律神経の基本的な仕組みについては、こちらのサイトが分かりやすいです
(リンク)

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